現在のアスベスト対策

石綿障害規制におけるレベル別措置一覧

建築物の解体などの際、アスベストを主とした有害物質を適切に取扱い、作業員および環境や周辺住人への被害を防ぐための各種法令(大気汚染防止法、建設リサイクル法など)が定められています。

複数の法令に漏れなく準拠し、作業を安全かつ効率的に進めるためのマニュアルが建設業労働災害防止協会など関連団体から配布されています。

吹付けアスベストおよびアスベストを含む建材は、その取扱に要する慎重さの度合いにより作業レベルを1~3の3段階に分けて作業に必要な措置が取り決められています。
ここでは建設業労働災害防止協会のマニュアルからレベル別措置の一覧表を抜粋して紹介しています。

 石綿含有吹付け材吹付け以外の石綿含有保温材・断熱材・耐火被覆剤その他の石綿含有建材
除去(*1)通常の除去掻き落とし等による除去非石細部で切断・搬出断熱材貼付のまま除去解体・改修
耐火・準耐火建築その他保温材(*4)断熱材耐火被覆材(*5)保温材断熱材耐火被覆材配管保温材屋根用折板断熱材外部(屋根・外壁)内部(床・壁・天井)
シートによる隔離グローブバック使用
基本レベルレベル1レベル2レベル2(*6)レベル2(*7)レベル3
事前調査
作業計画の作成
届出建設工事計画届(法88条)解体等の作業届解体等の作業届(石綿則第5条)解体等の作業届解体等の作業届××
特別教育
作業主任者の選任
保護衣(作業表)保護衣保護衣保護衣作業衣保護衣作業衣作業衣作業衣作業衣
吸収用保護具①~④④~⑤①~④④、⑤①~④④、⑤④、⑤⑤、⑥⑤、⑥
湿潤化
隔離×(○)×(*3)(○)××××
立入り禁止・掲示
環境測定作業場内
更衣施設・洗身設備・保護具の管理レベル1レベル2レベル1レベル2レベル1レベル2レベル2レベル3レベル3
清掃レベル1レベル2レベル1レベル2レベル1レベル2レベル2レベル3レベル3
(廃棄物の管理と処理)特別管理産業廃棄物特管産廃〔特管産廃〕特管産廃特管産廃〔特管産廃〕特管産廃〔特管産廃〕がれき類等がれき類等・廃プラ等
作業記録
健康管理
届出(参考:火防法)(不要)
(参考:廃掃法)(特別管理産業廃棄物)(特別管理責任者設置)(不要)(特別管理責任者設置)(不要)(特別管理責任者設置)(不要)(不要)

○:適用対象・措置必要など ×:適用対象外・該当せず・不要など

〔   〕:石綿則では適用されないが、本マニュアルでは対象としたほうがよいもの。廃掃法では不明確であるが、本マニュアルでは望ましいとする措置。
*1:吹付け石綿下の天井の除去は、除去工事の一種として隔離養生設置後行う。
*2:6月以上作業行うものに限るが、その後の場合も必要に応じて実施することが望ましい。また、自治体の条例で石綿粉じん濃度測定を義務付けている場合もあるので、留意すること
*3:グローブバックが隔離装置となる
*4:保温材を破損させないよう製品形状を維持し、ジョイント部で配管から引き剥がす方法
*5:単体を破損させないよう、ビス、釘、ボルト等固定箇所を外し又は引き剥がす方法
*6:基本レベルは2であるが、掻き落しによる除去工法は発じん性が著しく高く、グローブバック使用を除く作業ではレベル1対応をしなければならない
*7:基本レベルは2であるが、石綿含有建材を直接手を掛けないため発じん性が比較的低く、作業はレベル3対応で石綿ばく露を防止することのできる方法
※8 :石綿則13・14条
※9:切断・穿孔くずは粉じん防止のためにふたつき容器に入れること。
※10:吹付け石綿等がその粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがある場合に行うもの
※11:作業の内容により適切なレベルを選定

 

作業レベルについて

作業レベル1~3の区分と定義は建設業労働災害防止協会のマニュアルによって次のように定められています。

レベル1

建材の種類:石綿含有吹付け材
発じん性:著しく高い
作業の種類:石綿含有吹付け材の除去作業

レベル2

建材の種類:石綿含有保温材、 耐火被覆材、断熱材
発じん性:高い
作業の種類:石綿を含有する保温材、断熱材、耐火被覆材等の除去作業

レベル3

建材の種類:その他の石綿含有建材(成形板等)
発じん性:比較的低い
作業の種類:レベル1,レベル2以外の石綿含有建材(例えば成形板など)の除去作業